アジアとサッカーとベルマーレと

地元湘南ベルマーレへの思いと、これまでさすらっていたベトナムやアジアの国々、これらをサッカーと言う切り口でつないで見たらどうなるかなあと言う思いで書き始めてみようと思います。

ベトナムで人気のない職業・・・サッカー代表監督を巡る迷走

 

 サッカーの代表監督といえば、サッカーの指導者としての花形とも言えるべき職業。しかし、残念ながらベトナムではそうではない模様。1月11日付現地紙TuoiTreは新しいベトナムサッカー代表監督人選をめぐるドタバタを伝えています。

 

 ベトナムVリーグのSHBダナンFCの監督、Le Huynh Duc氏は先日「代表暫定監督に就任か?」との報道に「首を縦に振ったことはない」とそれを否定した。同氏によると確かにベトナムサッカー協会(VFF)のチェアマンであるNgo Le Bang氏より就任要請があったが、「クラブ日程もあるので相談してから」としか回答してないとしており、就任要請を承諾したとの報道を否定している。インタビューに答えてDuc氏は「クラブの日程が3,4,5月と詰まっており、とても代表監督を責任持って受けられない」と就任に否定的だ。

 

VietNam - the Champion

 

 2008年SuzukiCup優勝の時は街中が大騒ぎに!でもこれが負けると・・・

(写真はFlickerより)

 

 この記事の2日前には、Hoang Anh Tuan監督(Vicemセメント・ハイフォン)が「世論の圧力が強すぎる」としてVFFの就任を辞退したという記事が報じられた・・・と思ったら、なんと先ほどググったら「やっぱりHoang Anh Tuan氏は代表暫定監督就任の要請を突然受けた」というVietnamNetの記事を発見。自体は二転三転、一体どうなっていることやら・・・?

 

【背景&ちょっと解説】

 ベトナムサッカーは昨年暮れに行われたSuzuki Cup(東南アジア各国対抗で行われる2年に1回のカップ戦)でまさかの予選敗退。自分も出張中でたまたまハノイでテレビ観戦した試合もあるのですが、連日「失望」報道が相次いでいました。2008年には優勝にも輝いた大会(上の写真の街の興奮ぶりを参照)で決勝トーナメントにも進めず、代表、更には代表監督であるPhan Thanh Hung氏は国民からの大ブーイングを浴びた経緯があります。更に今年はリーグのドタバタで開幕が遅れたVリーグも3月初からと今後のベトナム代表試合日程とかぶるところが多く、この「火中の栗」の代表監督を誰もやりたがらないのが実情のようです。ちなみに、今回はとりあえず2月から始まる2015年アジアカップ予選の2,3月の2試合をこなすためだけの「暫定監督」選びということで、それゆえにクラブ監督との兼任もやむなしとしているそうなんですが、それがまた人選の難しさを招いているようです。

 

 TuoiTre紙は記事横に「軽んじられる栄誉」と題し、代表監督という本来最大のめいようである職業が忌み嫌われる状況を嘆いています。HuynhDuc氏はクラブの日程を理由に代表監督就任を固辞するべきでないと論じる一方、ベトナム代表が負けるたびにそれを選手と監督のせいだけにして、監督を選んだ責任をもって監督をサポートしないベトナムサッカー協会の体制も批判しています。

 

 まあベトナムのメディアも適当なところがあるので、「承認要請、受諾」みたいなところもどこまできちんと確認が取れて出しているかは当然当事者しかわかりません。でも、Vリーグを運営するVPFには日本人副会長も招聘を試み(前々回ブログ記事参照)、何とか状況を良くしようとするベトナムサッカー界に、越えるべきハードルが幾つもあるのは確かなようです。本当にこのHoang Anh Tuan氏が代表監督を受けるのかもちょっと分かりませんが、暫くゴタゴタは続くかもしれません。アジアカップ予選初戦は2月6日、UAEとのホーム戦までもう1ヶ月切ってるんですが・・・。